職人として
鱒寿司は1年通して同じものを作り続けます。
弊社の場合、派生商品がなく「鱒寿司1重、2重」だけです。
1重2重は量の問題なので、正味、鱒寿司1重を延々作り続けます。
よって、1年間、同じ食材、同じ作業の繰り返しとなります。
毎日、安定的の同じ仕上がりを目指す為には、心身共に同じ状態つ事が必要です。
激怒している時に寿司を作ると、作業が荒くなり、間違いなく品質に悪い影響が出ます。
よって、「心身共に穏やかな状態で寿司作りと向かい合う」
という事が、美味しい寿司を安定的に作る為に必要となります。
この「心身ともに穏やかな状態」を実現する為には、公私共に制約を課す必要がります。
・過度な喜怒哀楽を誘発しそうな案件には近づかない
・家でも店でも同じ物を食べる
・毎日を同じような行動パターンで過ごす
当、生活に刺激を求めず与えず、淡々を暮らす事に注力しています。
より良い寿司を作る事で、職人としての成長を目指しているからです。
よって、最近は過度に喜んだり悲しんだりするような、感情に作用する事が予見される事
から距離を置くようになりました。
基本的には、
・人に会いません
・イノベーティブな料理は志向しません
・旅行も行きません
・テレビ、映画も見ません
休日は1人で、同じ店で同じものを食べ、自然の中でぼけーと過ごしています。
もともと団体行動が大嫌いだった事も相まって、寿司づくりに向けて理想的な体制を整えつつあります。
その成果として、寿司づくりにおいて、今まで見えてこなかった疑問が次々とわいてきます。
・笹の温度管理、香りの排除における塩素の濃度
・調味料の温度
・発送時の温度管理(仕上がり温度)
・包丁の種類(出刃包丁は鱒寿司に向かない気がしている)
・シャリの空気含有量(最終的には圧力で密になるが、最初の空気含有量で味が変わる、はず)
etc
1年中、同じ仕事をしているにも関わらず、毎年のように代々続く仕事に疑問が出てくるあたり、
異常気象に対応しなくてはならない現代の事情はあるにせよ、
職人としてまだまだなんだな、と思いもします。
よって、もっと真摯に、本気で鱒寿司作りに専念する必要があります。
その為にも、心穏やかに日々を過ごすという事を最重要視しています。
ところがどっこい、
最近、
この「心穏やかなな状態」を著しく邪魔してくる事案が多発するようになりました。
ネットショップにおける「モンスタークレーマー」です。
品質に問題があったり、
私がお届け日時を間違えたり、
明らかに私の不手際の場合は、即時返金致しております。
なにより、めっちゃ謝りますし、再発防止に全力をあげます。
ただし最近、寿司が生ものであるという事をご理解いただけないお客様が増えて来ています。
・弊社鱒寿司の消費期限は製造翌日までです。
生魚とご飯ですからそもそもそんなに日持ちのするものではありません。
18時以降着をご指定し、消費期限が残り数時間て、そんな商品売りつけてどういうつもり?
という怒りの電話が入ってきますが、お寿司であるという事の認識を今一度お願いします。
・夏場に常温便で送る事を強要する方が増えてきました。
「常温便」で購入したのだから、クール便で送りたいならそちら(弊社)で負担すべき、
というご指摘を多数頂きますが、30℃を超える日をお届け日に指定し、常温便を選択する事の
異常性をご理解いただけない時代になったのかと、なんとも言えない気持ちです。
こればっかりは私ではどうにもなりません。
クレームというか言いがかりと言うか、
常識とか良識とか倫理とか、諸々欠如した方が一定数いるんだなと思い知った次第です。
そういう時代なのかー悔しいなぁ、という感覚です。
生魚は夏場はクール便で、なんてのは美味しさ以前の問題です。
危ないなと思ったら、対応するのが飲食事業者の責務です。
食の事故が起こらないよう最大限努力するってのが、普通です。
この責任感を逆手に取って、
「クール便で送りたいってのは、あんた(弊社)の希望でしょ?
じゃあクール便代はおたくで負担するのが筋じゃない?」
っという、理解不能なクレームに対応していると、
「平穏な状態」は数日間、阻害されます。
イラッとしながら寿司を作りると、色々と粗く、雑になります。
関係ないお客様の不利益となります。
よって、ネットショップでは事前確認という防衛線を張ると共に、
商品詳細にもその旨記載致しました。
商品詳細は文字数が限られており、本来であれば保管方法や、美味しい食べ方、製法など、
有益な情報を載せたかったのですが、安定的に品質の高い寿司づくりを目指す為、
自らの無知からくる商品とニーズのミスマッチ、
暴力的かつ一方的なクレームを排除する為のツールとしての機能の強化致しました。
「気温30℃超えて、夕方着なら、そらぁクール便でしょ。そんなん常識だろぅよ( ゚Д゚)」
というまっとうな感覚をお持ちの方には迷惑極まりない話ではございますが、
うまい寿司を作り続ける為、
ご理解の程、どうぞよろしくお願いいたします。
マルヤマ